──言葉より雄弁な。
同居人はお喋りが好きらしい。
仕事場に行く途中に咲いていた花の色から上司の失敗談まで、その日の起きたことを事細かに話してくれる。優れた頭脳のせいか、同じ話は二度しないし、読めない展開にはらはらさせられる。
くだらない事を笑いながら話す姿を見ていると、こちらまで楽しくなってくる。それは、同居人が日々を穏やかに過ごせていることの証明にもなるからだ。
出会ったばかりの頃は、何かに追い立てられるようにずっと机に向かっていて、余裕が無いように見えた。実際、大事なものを守るために必死だったと知っているけれど。
ただ、いくら同居人が愛しいといっても、一緒に暮らしていれば不満も出てくるわけで。
「それで?」
「なに」
「その泣き腫らした目は何かな?」
「……」
帰ってきたら明らかに泣いた後ですという目元の同居人がいた。何も言わないから本でも読んだんだろうと思ってそっとしておいたら、やけにこちらに視線を向けてくる。
これが不満だ。普段はなんでも話すのに、本当に言いたいことは心の底に押し込んでしまう。しまい込んで押し込めて見ないふりをした先が、良い結果じゃ無いことなんて目に見えてるのに。
でも可愛いのが、言葉を押し隠する代わりに、話したいことがあるとじっとこちらを見つめてくる癖だ。
(始まりはいつも)
後日加筆します。テストから解放されるまで後少しです。終わったら沢山書きます……!
10/20/2024, 12:57:54 PM