湿度も、日差しも、気付けば遠ざかって。傾くのが早くなったお日様に目を細める夕暮れ。手をかざしてもまだまぶしい。半袖一枚では出歩くのが辛くなって、少しずつ厚みを増していくこれからを思う。次第に雪がちらつけば、今年もあっという間に終わってしまうんだろう。人生は案外儚いものだ。年賀はがき、今年も売れないんだろうなぁ。
寒くなってくると、思い出す人がいる。とても恥ずかしがり屋で、猫とガーベラが大好きで、年上なのに子供っぽくて可愛い人。一度だけ、年賀状を送りあったことがある。
「あんまりよく見ないで」
と、言われたところで「はいわかりました」とはならず。まじまじ見ると片隅に、修正ペンの痕があった。
正月の晴れた朝。日に透かしてみると、可愛らしい筆跡で「だいすき」の文字が見えた。
〉忘れたくても忘れられない
10/17/2022, 10:31:33 AM