John Doe(短編小説)

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狂気


妖しい煙の中に君が抱えた野望がある
恐い呪文を唱えて大きな鏡の前に立つ
異世界の住人が静かに階段を上ってきた
君がいる部屋のドアをノックするよ
ほら、悪夢がすぐそこに来ているんだ

月が焼け落ち、紅茶の雨が降るセカイ
死神たちは滅びのラッパを奏でる
天秤に供物を乗せ、最後の審判がはじまる
アリスのようなピナフォア姿の君は
何かに祈るような素振りをするけど

魔女の使い魔の猫が君にすり寄ると
一枚のタロットカードを差し出した
薄暗いテーブルランプの上に映るそのマークは
悪魔の記号と秘密結社のコンパスだ
ここがどんな場所か、もう分かっただろ?

誰のせいでもない
これは君自身が望んだ現象さ
退屈な日常からの逃避を、そして脱却を
真っ白なキャンバスに絵の具を溢したように
君の呪いはやがて世界を燃やし尽くすだろう
そして君もここの住人と同化して
狂気の行列の中で行進を続けるんだ
君はようやく本当の自由を得る
君の理性を呪いの対価として支払うことで

さあ、行くがいい

8/18/2023, 12:29:09 AM