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「私とあなたじゃ住む世界が違う 第六話」

章司は、志那の方を見ていた。
「斎藤さん、また友達の星川さんとジャニーズの話してる…」
章司は、内向的であまり自分から話しかける方では無かった。クラスメートから陰キャと言われる程、地味で目立つ方じゃ無かった。
「なるべく目立たないようにして、烏谷達のグループに目を付けられないようにしないと…」
章司は、気弱でケンカは弱かったので、逃げるようにして学校生活を送っていた。
「斎藤さんは、可愛いなぁ。最近、烏谷と話しているけど…まさか、恋人同士になったんじゃ…!」
章司は、焦っていました。でも、志那の
「今日も進展は無かった」
の一言で、章司は心が救われたかの様に一安心出来た。
「斎藤さん、烏谷には気をつけろ。烏谷はヤンキーの不良のワルだから」
章司は、志那の方をこっそりと見ていました。

「…?どうしたのよ?」
「何か、田宮がずっとこっちの方見てるんだけど…」
志那は章司らしき人物の視線を感じていた。
「田宮?コッチ見てないけど」
「…気のせいかな?」
「案外、学校に忍び込んだ覗き魔かもよ!」
由里は、上の方を見ました。
「怖いよ、ソレ。そうだったら、先生に報告しなきゃ…」

章司は、想っていた。志那が好きで好きでたまらないと。志那と、話す事が出来たら、どんなに幸せかと。

梨々華は、表向きでは零也の良き親友で、零也の事を想い続ける女子を偽っている。ただ、本心では林檎王子のガーネットを愛している。
「…バレちゃいないわね。ガーネットは女の子だけど」
ガーネットは元女性で、現在は男性として生きているが、ガーネットが性転換する前は、女性ファンはかなり風当たりが強かった。
「ガーネットが好きだってバレたら、攻撃の対象になりかねない…ただ、今は…」
梨々華は、女子に同性愛者じゃないかと疑われずに済む方法を考えて、あえて、ラピスのファンと零也を想う女子を演じている。いつか、自分もまともな恋が出来る女子になれると願いながら。
「ガーネット、ごめんなさい。今は、スカイが忘れられない」
梨々華は今、パズルのスカイが好きなのだ。スカイに心を射抜かれた時に、好奇の目の悪夢から逃れられると、彼女は本当に涙して感謝した。
「彼、一見ショタに見えるけど、地声で射抜かれるなんで思っても見なかったわ…」
梨々華は、それでも零也を想う女子を演じている。歌い手は、所詮、現実世界には存在しない架空のキャラクターと同じ。現実世界にやって来たとしても、落胆させられる可能性もあるからだ。

9/2/2022, 10:37:58 AM