旅の途中
わしは昔 脚に手紙を結んでた
必ず届けて 託された
大事なお役目 伝書鳩
他の鳥には できないことさ
名誉なお役目 伝書鳩
まっすぐまっすぐ 飛んでゆけ
それは長い 旅だった
美しい海 波のきらめき
鮮やかな花 咲く丘に
灼熱の砂漠 蜃気楼
雪の降る夜は 凍えつつ
迷ったんだ 気付いたときには
脚に手紙が ついてない
手紙を落とした どこにもない
大事なお役目 果たせない
手紙をなくした 伝書鳩
手紙がないなら ただの鳩
今ではすっかり おじいさん
子どもの飛ばす 豆鉄砲を
よけきれなくて よろけてる
鳩のじいさん まどろみながら
落とした手紙は どこいった?
今でもそのこと 夢に見る
海の底に 沈んだか
花咲く丘に 転がってるか
砂漠の砂に もぐったか
雪にうもれて 凍りついたか
大事なお役目 果たせなかった
鳩のじいさん 遠くを見てる
旅の途中の あの日々を
今もじいさん むかしの姿で
旅の途中に いるんだよ
1/31/2025, 12:34:32 PM