【お題、消えた星図】
まだ外を無邪気に駆け回っていた頃。曇りなき眼で星空を見上げ、その姿に映していた。無数の星、どこまでも広がる空。規則や限界なんてものはなく、自分の見たこと感じたことが全てで、それが正しかった世界。自分は何でもできる、何にでもなれると思っていた、あの頃。今やこの瞳に映る星々は遠く霞んでいる。
『弥月(みつき)ちゃん』
落ち着きを含んだ声に意識が輪郭をもち始める。名を呼びれたので見上げていた視線を月へと向けた。瞳に映ったのは夜風に吹かれ、さらりと揺れる金色の髪。淡い月の光を浴びて煌々と輝いているそれはいつ見ても綺麗だ。蜂蜜を溶かしたような琥珀色の瞳にとても映える。
10/16/2025, 1:16:54 PM