しろ

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春爛漫
ふと思い浮かんだのはやはり彼女のことだった。前の世界で初めて彼女に合った日のこと。その頃の僕はまだ駆け出しで右も左もわからないまま旅をしていた。人を見つけては道を尋ね、何とか食糧を確保し毎日生きていくのがやっとだった。そんな時現れたのが彼女だった。ある日、道が悪く中々思いように進めずにいると突然、彼女がやってきて両手をぱっと広げた。その瞬間、彼女から光の玉のようなものが弾け飛び荒れ果てた道は整備され、さらに傍には一面に花が咲いた。

その時の彼女を今でも鮮明に覚えている。まるで天使のように羽ばたき、神々しいという言葉が相応しかった。あれから彼女を追い続けている。彼女は僕にとって憧れの存在だ。だから僕も頑張ろうと思える。
いつか彼女を追い越せるように。
一人前になれるように。

「春爛漫」

3/27/2025, 2:50:00 PM