既読のまま返事の途絶えたトーク画面をどのくらい見ていただろうか。今夜はもう眠ったのかもしれない。急に持ち上げてデレたり、突き放してみたり。誘導尋問にまた引っかかった。譲るつもりで言った言葉に君は容赦なく頬を張る。「私を利用しないで」と。
あなたと言葉を交わす夜はね、何も手につかなくなるよ。急に喉を噛まれ逃げ出した手負いの獣。こんなにもドキドキしてこんなにも心細い。弱いように見せて君は決して傷つかない人だから。道を間違えるのはいつでも僕だった。
箱を開いても開いても新たな箱の出てくる感じ。僕も大概懲りないな。あなたのいる水面はきらきら輝いて手が届きそうに見えるのに、実際はあまりに遠いんだ。
治ったはずの傷口から紅色が流れつづける。だらだらと水底へ滲んで溶けて、痛みもなく命を削る。それすら愉しんでいるのだろうか。ほかでもない僕自身が。
煌めく水面を僕は見上げる。今夜が特別な夜になる。君の友だち登録をそっと解除した。
『海の底』『特別な夜』
1/22/2026, 9:11:18 AM