木枠の扉から流れ込む隙間風が、蝋燭の炎を揺らす。その光に照らされ、ほつれたソファの裂け目から覗く白い綿の影が、壁にゆらりと伸びた。影が動くたび、ゆっくりと何かが近付いてくる気配に、背中がざわつく。こんな炎、消してしまいたい。けれど、消してしまえば闇の中に放り出されるだろう。聞こえるのは扉を叩く荒れた吹雪の音だけ。こんなにも、昇る日を待ち遠しく感じたことはない。夜明けまで、あと3時間。
12/23/2025, 4:31:52 PM