青年は古い小屋に倒れていた。
最初は何も見えなかった。
ひとつの明かりもなかったから。
目を凝らして周りを見渡す。
青年は他に人がいることに気づく。
青年は刹那の間、老人と顔を見合せた。
そしてなぜか見せている笑顔を眺めた。
青年は少し怖くなった。
何も言わずに笑顔で居るなんておかしかった。
「ここどこなのか知ってますか?」
青年は老人との会話を試みる。
老人は応えることなく笑顔を崩さなかった。
早くここから出たい。
そういう思いで青年は出口を探し始めた。
─────『刹那』
4/28/2023, 10:21:10 PM