『花束』
今日は親しき友人たちに花束を贈る日だそうです。
ええ、私が勝手に決めました。
いつもお世話になっているセバスチャンには、
カモミールの花束を贈ることにしました。
花束を受け取ったセバスチャンは
その場に固まってしまいました。
「あ、いえ…このようなものをいただいたのは
初めてで、その、ありがとうございます」
戸惑っている様子でしたが嫌がる素振りは
見せなかったので、私はホッとしました。
クンクンと花束の匂いを嗅ぐ姿に笑みがこぼれます。
魔術師にはライラックの花束を贈りました。
「ありがとうございます。私もお嬢様へ日頃の感謝として、花束を用意したのでどうぞ受け取ってくださいませ」
そう言って黒薔薇の花束を差し出す魔術師。
「まあ、おかしな魔法でもかけられて
いないでしょうね?」
「安心してください。私の想いしか込められて
いませんから」
青い目を持つレディには、
勿忘草と白百合の花束を贈りました。
花束を受け取った彼女は私に抱きついてきました。
いきなり飛びかかってくるとはなんてはしたない子!
彼女は花が綻ぶような笑顔で言いました。
「大好きよ!」
私の完全なる自己満足のために作った記念日ですが、
皆様に喜んでいただけたのならなりよりですわ。
おーほっほっほ!
2/10/2024, 12:51:34 AM