kiliu yoa

Open App

 私たちの生きる世界は、修羅の道だ。

 此の家で生まれたら、気に入られ…養子に成ったら、最後だ。もう人の道は、歩めない。もう、陽の目を見ることは叶わない。此処は、まるで巫蠱の壷の中みたいだ。子どもたちを城館に閉じ込めて、序列の順位を競争させ、最後まで生き残った強い者を作り、兵器として使う。
 
 最後まで生き残った者、其れが私だ。

 偶然、生き残った訳では無く、私が殺したのだ。頂点に成るために、生き残る為に、平然と多くの人を殺した。あの頃の私は、何も思わなかった。何も感じなかった。生きる為の行為でしかなかった。

 兵器として、生きてきた。傀儡みたいに、生きてきた。常に虚ろだった。あの頃の記憶は殆ど覚えていない。其処だけ記憶が抜け落ちていた。

 今の私は、あの頃とは違う。命を奪うという意味を知っている。

 

 

 
 

 
 
  

7/9/2023, 2:29:42 PM