お題『既読がつかないメッセージ』
(一次創作)
初めてできた彼女と、初めて喧嘩した。
デートの最中にむくれ顔のまま俺を残してズンズン歩いていく後ろ姿。その背中に余計に腹が立ち、俺もまた逆方向へと歩いた。
その夜。
カッカしていた頭が冷めてしまうと俺の方も悪かったな、という思いが湧き起こる。
だけど素直になりきれない俺は謝罪なんてできるわけがなく、でも取りつく島欲しさにLINEを送った。
《こんばんは。元気?》
考えに考え抜いた言葉は何ともいえない、頭の悪さを露呈していた。
しかし、いつまで経っても既読がつかない。いつもならすぐに反応があるのに……。
俺は慌てた。彼女の身に何かあったのかもしれない。
堪らず通話のボタンを押す。3回もかけたのに、こちらも反応がない。
どうしよう、俺、捨てられたのか?
茫然としていると、呼び出し音が鳴る。
「もしもし?」
早口になる俺の声に対して、彼女はとてもゴキゲンな口調。
『もしもし。なんかあったの? あ、ちなみにこっちは今日のデート資金でイッチバン高いお肉食べてた。うふふ、美味しかったぁ〜』
彼女が無事でいたことよりも、俺だって肉が食べたかった悔しさで泣けてきた。
9/20/2025, 2:38:43 PM