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冬のはじまりの続き

冬は一緒に

クリスマスが明け 冬休みになり
年末が差し迫る冬 手袋を嵌め マフラーを巻き 私は、コンビニに向かっていた。

冬限定の新作お菓子を買い占める為だ。

(これと これも あと...)と私が考え込んでいると... ポンと肩を叩かれる。

私が振り向くと...

「よお....」と無愛想に声を掛ける顔が
あった。

「あっ夏樹!!」と私は、しゃがんでた態勢を
解き立ち上がる。

「また 大量に籠に詰めてんなぁ....」
呆れた様に 夏樹が 私が持ってる
籠の中を見つめる。

「違うよ! 私 一人で食べるんじゃないよ
親戚の人が来てるからその差し入れ」

と 言ってから ちょっと言い訳じみてるなぁと気付く

「ああ...なるほど」夏樹は、私の心中など
気付いて居ない様に 一人で納得する。

そのまま一緒に歩き家路に着いた。

玄関先で別れようとして 夏樹に別れの
挨拶をしようとすると・・・・

玄関のドアが開き 小さい女の子が飛び出して来た。

「あっ 冬美お姉ちゃん!」トタトタと私に近づいて来る。

「あっ紫ちゃんお菓子買って来たよ!」
私が袋を持ち上げて 従兄弟の紫ちゃんの
方を見ると・・・

紫ちゃんは、キラキラした瞳を夏樹の方に
向けていた。

このパターンは・・・

「冬美お姉ちゃん この格好良いお兄ちゃんは、誰?」やっぱり...

私は、内心でため息を吐いて

それでも少女の純真無垢な瞳に逆らえず
隣に並ぶ夏樹を紹介する。

「隣に住んでる夏樹お兄ちゃん
紫ちゃんは、会うのは、初めてだっけ?」

「うん!」紫ちゃんは、素直に答える。
「よろしくな!」
夏樹は、紫ちゃんに笑顔を向ける。
その笑顔がまた紫ちゃんの瞳をキラキラ
させる。

私は二人に見えないように 小さくため息を吐き....

「じゃあ 紫ちゃん寒いから中入ろうか?」

私が紫ちゃんを促すと....

「夏樹お兄ちゃんも入ろう!!」と
紫ちゃんが小さな手で夏樹の腕を取る。

「いや...俺は、遠慮しとくよ...」
と 夏樹が下がろうとすると...

途端 紫ちゃんの瞳から水が溜まって来た。

私は、これはまずいと思い
咄嗟に....
「夏樹も一緒に入れば、遠慮する事ないって 勝手知ったる家でしょ!!」と
私が請け負うと
紫ちゃんの瞳がまた キラキラ輝き出し

夏樹の腕を引っ張り
「こっち こっち」と紫ちゃんが夏樹を
誘導して 家の中に引っ張って行った。

私は、その後ろ姿を見送り

何となく・・・

また変な感じがした。

なんだろう・・・これ・・・

「冬美 何立ち止まってんだ お前の 
家なんだから 率先して入れよ!」
そんな夏樹の私を呼ぶ声が聞こえる。


「分かってるよ!」私は、玄関の階段を
昇り駆けだした。

私は、そのモヤっとした変な感じに蓋をし
今は、紫ちゃんと夏樹と一緒に楽しい事が
出来るという事だけを考えよう!!

そうだよ せっかく 夏樹とも一緒に 
遊べる日になったんだから
紫ちゃんに感謝しなきゃね!!

だって 紫ちゃん 私 夏樹 三人で
遊べるんだから

楽しい事は、人数が多い方が
絶対楽しい

だから さっき思った事は 絶対気のせい

二人で居た方が 何か楽しかったなぁ
なんて.....。

12/19/2023, 2:23:51 AM