久々に公園に来た。空はどんより曇っている。雨が降る予報なのか、人はほとんどいない。
たった一人、子供がブランコで遊んでいる。
その子はブランコ板に上半身を預け、走り始めた。板が最下点に着くと同時に地から足を離す。ヒーローが飛ぶ姿でもやりたいのかな、と僕は思った。
危ないからやめなよ、と言いかけてやめた。
その子は泣いていたからだ。
家で悲しいことがあったのだろうか。小さいのに親もいないし、寂しいのだろうか。
そのとき、自分自身の記憶が蘇る。
僕はブランコが苦手だった。ブランコ板に腰掛けて足を浮かせるだけで胸の鼓動が激しくなる。友達と二人で公園に遊びに行っても、友達はブランコ、僕は滑り台で遊んでいた。
その友達と離れ離れになって、僕は……。
その子は過去の自分の姿だと気づいた。
「きみを、ほんとうの心の場所に連れて帰ろう」
天気予報は外れたのか、晴れ間がさしてきた。
2/1/2024, 11:45:43 PM