「さいあく〜!」
隣の彼はそうやって、頭を掻きむしっていた。
大きな声で叫んだその子にみな目を向ける。
「おいおい、今日は何が"さいあく"だってんだ?」
他の子がいつものように尋ねると、彼は待ってましたといわんばかりに口を開いた。
「今回のさいあくは〜...じゃん!!体操服を忘れたこと!!」
そう自慢げに自分の最悪を発表した彼に、まわりはどっと盛り上がる。
「よっしゃ!俺の勝ちだな!」
「くそ!今回こそ消しゴム落とすと思ったのに!!」
「それ"さいあく"なのか?」
給食のプリンが賭けられた彼の____"最悪"くんの"さいあく"当てゲームで勝者がガッツポーズを決めている。
最悪くん、というのはもちろんあだ名である。
彼は入学当初からこの"さいあく"発表をしており、最初はみんな戸惑っていたが、いつのまにかこうしたゲームにまで発展していた。
最悪くんは、盛り上がっている様子をみて楽しそうに笑っている。
彼がなぜこんなことを始めたのかは分からない。
もしかすると、小学生の頃からやっていたのかもしれないが、彼は中学入学を機にこちらに引っ越してきたそうなので、それを知っている人は多分いない。
"多分"というのは、私が彼とあまり接点がないから知らないだけ、という可能性も
途中
『最悪』
6/7/2024, 9:17:51 AM