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ぽつんとそこにある塔は、深くに根を張っている。
ぽつんといえどそれはそれは大きいのです。

でも、あなたも私も遠くにいるからね。実際のところよくわからない。近くに行けば、その足元の、ごつごつと出てきた根もとに、白くポワポワした毛虫とか、触覚のうつくしい昆虫がうごめいているのかもしれない。

そう考えると、塔というのはここにしかないらしいけど、そんなことぜったいないはずだと確信に変わる瞬間があった。

無数にある世界。私の足もとに1回だけしか触れることのないだろう風が吹く。髪はなびかない。足元だけに漂うのだ。

4/3/2023, 12:52:36 PM