Open App

旅路の果てに…

容赦ない新婚旅行だった。

彼と二人、レンタカーを借りての真夏のアリゾナドライブ。私たちの疲労は旅程2日目で早くもピークに達した。

車という狭い密室に並んで座っていながら、この旅行の間、私たちはほとんど口を利いていない。
彼との海外旅行はこれが初めてだった…

しかも何が問題かって、それは時差でも、暑さでも、慣れない水でもなく、異国の地でたった一人の協力者であるはずの「彼」!!
彼から見れば「私」!!

問題が同行者である以上、場所を変えようと、時間を変えようと、避けようもない。
旅程が決まっているため、少し離れて頭を冷やすとかもできない。煮詰まったまま、並んで無言でお互いの世界に入るしかない。

私には、こんな旅行の最中(さなか)まで私を否定してくる彼の気持ちが全く分からなかった。

学生時代、バックパック一つでアジアの安宿を巡った彼は、その頃を懐かしみ、前の仕事を辞めたタイミングで長めの旅行に私を誘った。

パワースポットを巡り、一緒に空を眺め、インディアンの露店を見て回る。朝から晩まで時間を共有し、話したい時に言葉を交わす。
なんてロマンチックなんだ。
自分の人生にだって、一回くらいこんな甘い時間があってもいいじゃないか。
そう思って了解した。

しかし現実はどうだ?
全然楽しくない。
ええ、どうせこうなると思っていましたよ。

彼とは本当に息が合わない。
きっと彼の方もそう思っているだろう。
彼は、私のやる事なす事全部が気に食わないのだ。

物事は始めながらその都度状況に合わせて軌道修正していく私と、手抜かりないように細部まで見極め万全にしてから始めたい彼とではぶつかって当然だ。

それでも一緒に生きていくつもりなら、相応の努力と工夫が必要だ。


ああ、
あそこは彼が納得するまでもう少し待ってたほうが良かったな…
彼の方に視点を変えると、少し見えるものがあった。

全く反りが合わない名ばかりの夫婦。
今さら熱々にはならないだろうけど、ぶつかりながらも相手を知り、少しずつ居心地の良いスタイルを築いていけば、意外に面白いオーダーメード夫婦くらいにはなるかもしれないね。

2/1/2024, 3:41:38 AM