300字小説
『NORIKO』
カラフルで華やかな色使いで画壇に躍り出た彼は奥さんを一途に愛していた。人物画『NORIKO』シリーズ。この絵の女性が奥さんだ。見るだけで愛が伝わってくるようだろう?
だから奥さんが亡くなった後、彼の落胆ぶりは凄まじかった『NORIKO』シリーズだけでなく、他の絵からも一切の色が無くなり、モノクロしか描かなくなったんだ。
だが数年後、彼の絵に色が復活した。切っ掛けになったのはこの『NORIKO』の絵。今までにない柔らかな色使いで描かれている。彼が言うには、これは亡くなった奥さんとの合作だそうだ。本当かって? さあ? でもここ、彼のサインに寄り添うように女手で『NORIKO』とサインが書かれているんだ。
お題「カラフル」
5/1/2024, 11:39:48 AM