【これで最後】
天真爛漫で、無鉄砲な顔見知りがいた。
彼女は楽観的な明るさと退廃的な考えを持っていた。
彼女はいつも私を遊びに誘ってきた。
人気者に見せかけた彼女はいつもひとりだった。
私はそれが鬱陶しかった。
「また今度誘うから」と言って、声をかけなかった。
彼女はそれでも何度も底抜けに楽しそうな顔で私に話しかけてきた。私はその度に彼女をいなしていた。
ある日、彼女はいつもの笑顔で誘ってきた。
「また今度誘うから」いつもみたいに断った。
でも彼女はにこにこしながらどこか静かに言った。
「これで最後にするよ」
それから彼女はいなくなった。
ある日、風の便りがあった。
彼女は死んだのだと。
清々した。もう二度とあのつらを拝むことはない。
あの声を聞くことも、あの言葉を言われることも。
彼女の言葉に耳を傾けたことがなかった。
彼女の心を見ようともしなかった。
私は、私は
5/28/2025, 6:01:39 AM