つぶて

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 明け方の空は、泣き笑いともつかない曖昧な色をしていた。降りそうで降らない。晴れるかと思えば、いつ崩れてもおかしくない。苦しそうだ。吐き出したいのに吐き出せない。ギリギリの均衡を保ったまま、いつか晴れるだろうと我慢し続けている。たぶん、今の私そのものだ。
 不安で眠れなかった昨日の夜。自分を見失いそうになって、明日こそはと思いながら必死に目を閉じ続けていた。だけど、いざ朝になってみればこの空模様だ。朝から元気に挨拶して、一日を頑張ろうなんて気持ちは、今や暗い雲に覆われ始めている。
 この空に向かって全部叫んでしまえたらいい。何もかも、全部雨に流してしまえば、きっと少しは軽くなるなるはずだ。プライドも、外聞も、何もかも捨ててしまえばいい。
 なのに、私には聞こえるのだ。どこからともなく。私を睨みつけて、降るな、降るな、と牽制する声が。

6/14/2023, 1:58:35 PM