不特定多数

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嵐が来ようとも

ざわざわと風が樹葉を揺らし、空は重く沈んでいる。今朝見た天気予報を思い出す。明日は予報通りの台風だろう。
公園で遊んでいる子供はいつもより少なく、がらんとしていた。
なんというか、台風の前のこういう非日常感が好きだった。翌日を思って最悪と落ち込む人も多かろう。それに、幼い頃は不謹慎と怒られたりもした。だが成長してからも思ってしまうのだから、もう仕方がない。
「ちょっと、わくわくする」
横を歩く君がふいに呟く。別に誰に当てたというわけでも、私に向けて言ったようでもあったそれは、同じようなことを思っていてなんだか面白い。
「コロッケでも買いに行く?」
笑いながら言えば君はふっと吹き出して頷く。
そのまま帰路を外れて一緒に歩いていたら、嵐が来ても、しわくちゃになっても、君のことを考えていたいと思った。

7/29/2024, 3:30:12 PM