「二十歳になったら、あたしはどんな大人になってるんだろう」
あたしは『未来の人生計画』と書かれた宿題を見ながらそんな言葉を呟いた。
マスコットは昼頃に敵を倒したあとに『ちょっとキミから離れるけど明日までには戻るから安心してくれるかい』なんて言いながらいなくなったきり、姿を見てない。
そんなことを言われるのは初めてだからちょっとだけ不安だしドキドキもしてるけど、もう敵を倒した後だからそうそう危ない目には合わないだろう。会話をする相手がいないのがちょっぴり悲しいくらいだ。
二十歳。あたしは何をしてるんだろう。
魔法少女はまだやってるのかな。二十歳で少女なんてちょっとだけ変な感じがするけど。でも、辞めることなんて出来るのかな。死ぬまで、って言ってたしお姉さんになってもおばあさんになってもやらなきゃいけないならちょっとだけやかも。
何かになっているのかな。今、夢と言える夢は持ってないけどどうなんだろう。これから生きていくうちに何かになりたいって気持ちが湧いてきて何かになってるかもしれない。ただ普通に会社員とかになってるのかも。
『やぁ、ただいま』
そんなことを考えてたら壁をすり抜けてマスコットが帰ってきた。
「あ、おかえり」
『それは宿題かい? …………未来の人生計画?』
覗き込みながら題名を不思議そうに読み上げた。
『そんなものを書かなきゃいけないのかい、人間は』
「そうなの。だからどうにかして考えなきゃいけなくて」
あたしがそう返すとマスコットはチラリとこちらを見てから、ふんわりと笑った。
『キミはもちろん、魔法少女を続けることを念頭に置いて考えてくれよ』
「あ、少女じゃなくなっても続くの?」
『……………………そういうことになるね。キミはやけに些細なことが気になるようだ』
マスコットはそう言ってからため息をついた。
「そういえば、何しにどこに行ってたの?」
『……キミの報告をしに行ってただけだよ、カオル』
第十一話 二十歳
1/11/2026, 9:28:25 AM