星乃 砂

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【真夜中】

 [後悔 続編]

登場人物
 勇気
 遥香
 フーリン

翌日、遥香は勇気の家で作戦会議を行なっていた。
「敵はボスがオークで手下がスケルトンなんだよな」
「私が見たのはそうよ」
「何匹くらいいたんだ」
「村のあちこちにいたからハッキリとはわからないけど、
オークが数体
スケルトンが20〜30体いたと思う」
「そいつら全部俺が倒すのか」
「フーリンがいるじゃない」
「でも、アイツのは攻撃じゃなくて援護だって言ってたしな」
「それでも、風で敵を蹴散らしてくれれば、大助かりでしょ」
「なんか厄介なものに首突っ込んじまったな」
「ゴメン、私のせいかも」
「どう言う事だ?」
「勇気があの世界に最初に来た時の事覚えてる?」
「ああ、いきなりスケルトンに襲われたんだ」
「実は、あのスケルトン私に向かって来てたの。その時、(勇気助けて!)って叫んだら目の前に勇気が現れたのよ」
「お前のせいか」
「ゴメン。多分」
「まぁ、今更しょうがない。やってやるさ。どうせ死んでも夢だしな」
「あらヤダ、もう夕飯の時間だわ帰らなきゃ。じゃあまた、《夢美の国》でね」
「おぉ!《夢美の国》か?いい名前だ。今日行ったら夜が明けてればいいんだけどな」

「やっぱり、まだ真夜中のままか」
「みんな集まったわね、準備はいい?」
「おお!」
「もちろん」
勇気と遥香はフーリンにしがみ付いた。
「何やってんだよ」
「飛んで行くんだろ」
「私達、飛べないもん」
フーリンは仕方なくふたりを抱えて飛んだ。
フラフラフラ〜
「これ飛んでるのか?」
「なんか歩いた方が速いみたいね」
「歩きかよ」
俺達は月明かりの中歩き出した。
「星がとってもキレイね」
「夜中に歩くなんて初詣くらいだもんな」
「お前ら遠足じゃないんだから、もっと気を引き締めろよ」
「「は〜い」」
「そういえば、魔物のアジトってどんな所なの?」
「どうして?」
「お前、アジトに攻め込んだんだろ」
「攻め込んでない」
「だってケガして帰って来たじゃない」
「あれは、転んだんだ」あくまでシラを切っている。
「魔物はやっぱりオークと、スケルトンだけなのかな?」
「トロール」
「えっ?」
「トロールがいた」
「お前やっぱりアジトに行ったんじゃん」
「こっ、転んだんだ」尚もとぼける。
「「.....」」
「方角はこっちでいいの?」
「間違いない、“風の鈴”が教えてくれる」
3人はひたすらに歩き続けた。
すると、前方にポツンと明かりが見えた。
「あそこに明かりが見えない?」
「あっ、本当だ。なんか燃えてるみたいだな。もしかしたら、また村が燃えてるんじゃ」
「フーリン先に行って...」
「もう行ったよ。俺達も急ごう」
「うん」
炎に近付くにつれ、どうやら村が燃えている訳ではなさそうだ。
「ひとまずは良かったわ」
「フーリンが誰かと話してるようだな。髪の毛が真っ赤っ赤じゃないか」
やっとフーリンの所に着いた。
「遅い!」
「俺達は飛べないんだ」
「これでも全力で走って来たのよ」
『君が勇者ですか?』
「はい?」

           つづく

5/18/2024, 10:05:29 AM