『誰よりも、ずっと』
7年前から、この時をずっと待ち望んでいた。
この男、陸を殺す事だけの為に生きて来た。
この男のせいで俺の両親は死んだ。父、赤吉も、母、青子も。
その時から決めていたんだ。絶対に復讐するって。
今まで入念に準備して来た。武器を取り寄せたり、そいつの居場所などを探ったり。
そして、遂に今日、陸を追い詰めた。縄で悠凛の体を柱に縛り、武器を全て排除した。後は殺すだけだ。
「最期に言い残すことはあるか?」
ナイフを陸に突き出しながら言う。
陸は顔を上げて、俺と目を合わせる。
「お前、7年前のチビだな」
「ああ、そうだよ。お前が殺した人達は俺の両親だ」
「そうか……あの時の……あの人の子か……」
陸がぶつぶつと何かを呟いているが小さくて聞こえない。
「言いたい事はそれだけか?」
「この時を誰よりも待っていた。ずっとな」
「は? どう言う事だ?」
意味がわからない。この時を待っていただと? 殺される時って事か?
「殺すならさっさと殺せ。俺はお前の両親の仇だろう?」
そうだ。俺は復讐をしなければならない。この男の言葉に耳を貸してはいけないんだ。
「ああ、そうする事にするよ。じゃあな」
陸の心臓をナイフで刺す。
次の瞬間、グサっと言う音がし、陸の心臓にナイフが刺される。陸の胸から血が出てきて、陸の来ている服に滲んでいく。俺は復讐を果たしたんだ!
「ああ、やっとだ! この時をどれほど待ち望んだか! 7年前からずっと!」
「お……たよ……ご…んなさ……………さん……」
悠凛がまた何かを呟いていた。確実に心臓を刺したと思ったが、狂ったか?
「なんだ? 聞こえないぞ」
悠莉の口に耳を近づける。
「終わったよ……ごめんなさい……赤吉さん……青子さん……」
「は?」
何故この男が俺の両親の名前を? いや、何故今謝罪をしたんだ?
「おい! 今の言葉はどう言う意味だ! 何故俺の両親に謝った! おい!」
陸に話しかけて見るが、返答が来ない。陸の頭は力無く項垂れ、体は1ミリも動かない。死んでいた。
4/11/2024, 8:23:53 AM