『モンシロチョウ』
(男性同士の恋愛を匂わせていますので、苦手な方はお逃げくださいませ)
「えっ、蝶?」
次の体育の授業前の休み時間。
何気に見たアイツの肩に、モンシロチョウが見えた。
思わず声に出していたらしい。
アイツが振り返る。
「俺?」
蝶はアイツの肩から動かない。
肩というより、肩甲骨の真ん中辺り。
左の。
水泳部のアイツの身体は、まだ水に入るのには寒いこの時期にも、既に焦げたトーストみたいにいい色で。
そこにふうわりと止まっていた。
「違う、違う。コイツのこれ、アザ?
シミ?」
同じ水泳部のヤツが笑いながら俺に教えてくれる。
アザ?
シミ?
確かに。
なんでモンシロチョウと思ったのか。
焼けた肌の上に有るのは、他の肌よりもいっそうくっきりした色だったのに。
「コイツのこれ、モンシロチョウみたいだよな。アゲハチョウみたいなシャープな感じじゃなくて
丸くて可愛い感じ?」
「知らねーよ。自分で見える位置じゃないし」
いつもと同じぶっきらぼうな口調。
でもちょっと照れてるのがわかる。
「うん、可愛い」
「うっせーよ。見んなって」
答える俺に、反応して赤面のアイツ。
ビックリするほど整った顔で、入学式の日から目が離せなかった。
同じクラスになって、まだ1ヶ月余り。
まだまだ知らないことのほうが多いけど、少しずつ距離が縮めたい。
出来れば、お互いに。
≪追記≫
タイの某俳優さんが、肩甲骨にタトゥーを彫っていたり、香港の某俳優さんの肩甲骨にシミのような痣が有ったりと、この部位はなかなかにエッチィ気がします。
普段は見えないし、更にいうと自分では見えないし、脱いだ時だけ現れるというのもなんか良いなぁと思っております。
5/10/2023, 5:04:42 PM