【UNDERTALE二次創作】
パピルス、洗濯カゴを突如ひっくり返し、ドサドサ散らかすと、キッと眉をつりあげ、ソファに向かって、「もー、兄ちゃんまた散らかしてる」と、発した。
その後、しばらく黙ると、自分で散らかした服たちをさらにぐちゃぐちゃに広げて、また立ち上がると「オレさまがいっつもどんだけ苦労してると思ってるのっ」。
今度もまた、黙る。
だが今度は、その場から立ち去ってしまった。
リビングより、ガソゴサものを漁る物音が響く。
そしてすぐ、パピルスはまた別の洗濯カゴを手に持ちやってくると、それを一息に、また地面へ散らばす。
そして今度は、キッチンのほうへ歩くと、がぽっ冷蔵庫を引き開いた。
途端、その引の風によって、塩気の抜けた、ペラペラなポペトチッスプ袋が飛び出してくる。
パピルスは、冷蔵庫の真正面に立っていながら、ポペトチッスプはそれを器用によけ、パピルスの脇をすり抜けると、リビングとキッチンの境目に力無く落ちた。
「……あ」
振り向く。
「……もう!いっつも兄ちゃん言うこと聞かない!
もーっ、そんなじゃ、……えーっと……
え、えらいひとになれない……」
「こう見えてもトントン拍子に出世してるんだぜ?スケルトンはだけに!?」
雪のつもった森の奥、で兄にふった言葉そっくりそのままだった。
苦し紛れにこうなることは、最近のパピルスにはよくあることで、そんなじゃえらいひとになれない、という語を使うのも、これで五度目になる。
パピルスは黙りこくり、ソファへ、ほとんど落っこちるみたいに腰をひっかけた。
「……まだボク、トモダチかな?あのコと……」
雪のつもった森の奥、パズルをけしかけ、兄といっしょにコミュニケーションをとった、
パピルスにとっての、はじめて会ったニンゲン。
パピルスの頭蓋骨には、正真正銘の無表情のみしか刻まれていなかったが、あのコのくどき文句は、一言一句覚えてる。
「シンパイしなくても……あえるぞ、またすぐっ」
顔を引き上げると、目に飛び込んでくる自分で汚した光景たち。パピルスの眼窩はヒクと歪み、頭蓋の中には「もともとシンパイないけど」という、あからさまに似たギャグがよぎる。
「……もともとシンパイないけどっ」
パピルスは、ポソとソファに倒れ込み、膝を抱えた。
ヒザが口元にあたるほどの長い足を、その胸に抱き、パピルスのめはかわらず空洞である。
誰かさん(ず)のせいで泣くという行為に特別意識が生まれ、ストッパーが必要以上にかかり、絶対に泣けないパピルス(こどもっぽいパピルスが泣かないというギャップが良い)。
すごくこどもらしいのに、大人顔負けのイカしたあたまの持ち主、パピルスは魅力的だ。
だがもうだれも、彼のもとへ戻れない。
彼はわたしたちを思い出し、わたしたちは彼のわたしたちの思い出を見る
7/6/2024, 12:23:46 PM