手を取り合って
「少しは立ち上がれるようになったんで......見て欲しいんです」
いつもと変わらない、自信のない声でそう言った。でも今日は、その声とは違う。彼に、生まれ変わった私の姿を見せたい。そんな思いを言葉にこめた。
「分かった。俺、見守るよ」
私の言葉を信じるように、彼は言った。その言葉で私は、ほんの少し自信が出てきた。でもやっぱり不安は大きくて、言葉にはそれが表れてしまう。
「あの、もし倒れそうになったら...」
「分かってるから。ほら」
彼は一貫して見守る様子をとっていた。私が不安を抱えていることも、すべて見透かされているような感じがした。なら、どんなことを思っていっても仕方ないと思った。
私はゆっくり体を上げる。足が体を支えられそうになくて、倒れ込みそうになる。彼が手を差し出し、私は咄嗟に掴んだ。足はまだ震えていて、自分で立てるような感じではないけど、それでも私は立っていた。
7/15/2024, 9:13:09 AM