【吹き抜ける風】
放課後の商店街を吹き抜ける風が、二人の買い食い袋をパタパタと揺らした。
「おい、お前それ全部一人で食う気かよ。」
「ちゃうわ。お前がまた途中で欲しがるの知っとるから買っといてやったんやぞ。」
そんな軽口を交わしながら、人混みの中を肩を並べて歩いていく。
風に押されて紙袋が膨らむたびどちらともなく中身を確認し、温かいコロッケや唐揚げをつまみ合う。
「味見ってレベルじゃないやん、お前。」
「風が強い日に食べると旨さ2割増しやわ。」
信号待ちの横断歩道ではレシートが飛び出して、風でひらひら舞うレシートを二人で追いかけ回し、結局どちらも捕まえられずに笑い合った。
「まあええわ。どうせ読まへんし。」
「いや俺は読んだで。お前、また余計なもん買ったやろ。」
「しかたないやん。店員に乗せられたんやって。」
「はいはい、せいぜい乗せられてろ。ばーか。」
やがて公園に着くと、風が木々を揺らしてざわついていた。
ベンチに腰掛け、袋の残りを分け合いながらどちらともなく言う。
「なんか、こうやってダラダラ歩くん好きやわ。」
「わかる。目的なくても、普通に楽しいもんな。」
その肩をまた軽い風が通り抜けた。
ワイワイ言い合いながらも、風みたいに気ままで心地よい時間がこれからも続いてほしいと思った。
11/19/2025, 1:33:58 PM