Kagari

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『短命宣告少女、心境は大荒れです』(神のみぞ知る)

「正直、長く生きるのは難しいよ。二十歳まで果たして保つかどうか」

「本当にむつかしいわ。わたしたちにはどうしようもない。打つ手はないわ。いまの時点で、わたしに打てる手はありません」

「別に誰が誰をかわいがるかは勝手だけどさ。あの子は長生きできないもん。そうなったら、情を注ぐおまえが辛いだけだよ」

「はたち むり」

「しょうがないよ。残された時間を悔いなく過ごすしかない」

「これだけの占いに否定されてしまうとは……。なかなか骨が折れそうだネ」


「「「だって神様に愛されてるから」」」

 神様に愛される、他の人からすればきっと良いことなんだろう。良い徴なんだろう。
 だが、私だけは別だ。あえて私だけと言わせてもらう。神様が、どれだけ恐ろしくて、どれだけ尊くて、どれだけ畏れ多いのか、ふたつの国で過ごしていろんな神様と呼ばれる存在に触れた私にはわかってるつもりだから。
 
「ふざけんなっ!」

 愛されているから大人になれないだなんて、私からすれば理不尽なことこの上ない。
 そもそも大人って言い方、すごく曖昧じゃない? 住む場所が変われば『大人』の定義も線引きも変わってくるじゃんか。いまこうして16歳を迎えた私も、場所によっては定義づけられた『大人』に無事になっている可能性がある。それだったらどんなにいいだろう。
 でも、16歳を迎えてから真っ先に未来を占ってもらったら、結局結果は変わらなかった。「長くは生きられない」だって。なんて曖昧な定義なんだ、大人って。ボーダーラインはどこなんだ。

 せめて年齢とか期限を言え!
 そもそも愛してるから早めに迎えに行くよとか止めてくれや。ヤンデレは創作のなかだけで十分です!

 思いつくかぎりの罵詈雑言を喚き散らせば、「やっぱりこいつは止めた」ってなってくれるだろうか。無理? 伊達に十何年も待ってない? 腹立つな……。
 まだまだやりたいことだってある。完結を見届けるまでは死ねないって思ってる神作品だって抱えてる。うわっ、自分で神って言葉使っちゃったよ。祖国で軽率に崇めちゃう精神、私のなかにもすっかり根づいちゃってるんだな。
 そんなこんなで、やっと迎えた人生まだまだ16年目。「神様の言うとおり」だとか、「神様に愛されている」って言葉はいつのまにか大嫌いになった。
 あと、あの言葉も嫌い。「神のみぞ知る」。いつか直々にお迎えに来たら、迎え討つつもり満々だからな、私は! ただでは死んでやらないからな!?

7/4/2024, 11:43:01 AM