ヒロ

Open App

今日こそは。
今日こそは、とぐずぐず迷っている間にも、除夜の鐘が鳴り出した。
ああ、何で俺はこうも意気地がない。
友達なんだから、年の瀬の挨拶くらい、そんな変に畏まらなくたっていいじゃないか。
簡単に。こう、さり気なく。

『今年も一年ありがとう。また来年もよろしくね。良いお年を!』

そうそう。こんなふうに簡潔に――て。
そういうのを俺が先に送りたかったんだけどさ!
ああもう! 変に気を遣って時間をかけるから、俺が送るより先に彼女の方からメッセージが飛んで来てしまったよ。
ほら、向こうは何も気にしていないんだから、びくびくする必要なんかないじゃんか。
――まあ、こっちは友達以上の好意を持っている分、下心があるのは否めないけど。
でも、そこに引け目を感じてばかりいては何も始まらない。

そうこうしている間にも日付が変わり、遂に年も明けてしまっていた。
いけない。今がチャンスだろ。
今度こそ先手を打って、俺の方から新年の挨拶を――!

――ピコン

けれども俺の気合い虚しく。
開いているメッセージ画面に、彼女からのスタンプが追加された。

『あけましておめでとう!』
『今年もよろしくね』

「――は、早いよもう!」
新年明けて早々の、深夜一番のメッセージ。
部活仲間の俺に早速送ってくれて、それはもう嬉しいんだけれど。
またもや彼女の素早さに負けてしまったのがちょっと悔しい。
おまけに、こちらもまさに送信するところだっただけに、届いてすぐ既読がついてしまった点も恥ずかしい。

ああもう、本当に情けない。何てぐだぐだな。
今年こそ、この優柔不断さとおさらばしなければ。
さもなきゃ彼女とは一生片思いで終わりそうだ。
ため息を吐いて、ぐるぐる繰り返す後悔と反省に区切りをつける。

「即断、即決!」
悪癖を断ち切るが如く。
呪文のように呟いて、漸くメッセージを送信した。

『あけましておめでとう。こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いします』


(2026/01/02 title:087 今年の抱負*02)

1/3/2026, 9:57:27 AM