60㌔

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ベッドに横になっているあなたをチラリと見て、ため息をついた。
昨日も遅くまで帰ってこなかった。
着ているシャツやスラックスに皺が寄ってしまいそうだと思った。
こんなことで喧嘩するのも馬鹿馬鹿しいとは思っていた。
起こそうと思って背中に手を置いて、顔を寄せるとあなたは小声で、
「ありがとう」と、呟いた。
寝言かもしれない、とも思った。
だけど、その一言は私がさよならを言う前に、あなたを好きだと思い出すのに十分だった。

8/21/2024, 10:00:25 AM