「僕が本当に必要なのか分からない…いなくても成り立つんじゃないかって。」
『で、どうすればいいかって?』
「どうすればいいかも自分がどうしたいのかも分からないんだ。本当に情けないことだけど。」
『俺はそういうとき、信頼されたい、必要とされたいって思うよ。』
「じゃあ、お前ならどうするの?」
『俺は、一度飛び出してみるよ。そうして心配の連絡も取りたくなるまで見ないことにする。』
「そんなことしたら、迷惑なんじゃ…」
『うん、迷惑だよ。大迷惑。けど、試したいんだ。俺を見つけたとき、俺が生きているとわかったとき、心配したと泣いて抱き締めてくれるのか、責任問題になるから面倒を起こすなと言われるのか。』
「試すってことは、お前はみんなを信頼してないことになるんじゃないの…?」
『当たり前じゃん。向こうは信頼を俺に分かりやすく示していない。なら俺も信頼を全面に出す必要はない。』
「ええ…そういうもの?」
『少なくとも俺はそう考えてるよ。そもそもそういうこと考えさせる向こうが悪いと思うし。ちょっと脱走して迷惑か心配かけるくらい、とんとんだよ。』
「ならさ、僕に足りないものはなんだかわかる?」
『んー、決定的に足りてないのは迷惑をかける勇気じゃない?』
「迷惑って勇気出してかけるものなの?」
『君なんだから、勇気いるでしょ。』
「そう。」
『なら俺に足りてないのはなんだと思う?』
「お前は…全部足りてる気がするけど。」
『はは、ならいっか。』
8/16/2024, 6:26:20 PM