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終点。
SL旅をしてきた日にこのテーマとは。
何だか運命的だ。

今日一日で、たくさんの列車に乗った。

地元の路線を二つ。
つくばエクスプレス。
関東鉄道常総線(初乗車)。
お目当ての真岡鉄道(初乗車)。

電車、電車、電車、ディーゼル、蒸気機関車。
種類も豊富な上、初乗車のものもあって楽しかった。

関東鉄道常総線の終点「下館」を目指す車中での出来事と、人生初のSLについて…書きたいのだけど、今は眠いので、また明日。

おやすみなさい。
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おはようございます。

さて、何から書こう。
色々な体験をした日は、言葉が散らかり過ぎて困りものです。一つを拾うと、あれもこれも。時系列順に出てきてくれれば良いのに、ランダムで出てくるものだから、整理が大変。
一回眠りを挟んだので、少しでも整理されていれば良いのですが。さて。
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母親と行く親子二人旅。

車のない我が家は、電車旅が多い。
母親も私も、乗り鉄や撮り鉄ではないが、電車に乗ることは好きな方だ。

人生の中で一度は乗ってみたいと言い続けていたSLに今回とうとう乗ることになった。

SLの発車駅「下館駅」に向かうには、つくばエクスプレスの「守谷駅」から関東鉄道常総線へ乗り換え、「水街道駅」にて再度乗り換えが必要となる。

常総線「守谷駅」のプラットフォームにいると、母親が面白いことに気がついた。
通常、駅のアナウンスは「電車」という言葉を使うが「列車」という言葉を使っているという。
耳をすましアナウンスに注意を向けると、確かに「列車」と言っている。

プラットフォームに入ってきた車体を見て、納得した。
2両編成の車両の上部には、パンタグラフが付いていない。

調べてみると「ディーゼル」を使用した「気動車」と出てきた。

普段乗らない列車に乗るだけで、旅の気分は格段にあがっていく。

「下館」行きと書かれた列車に乗車したのだが、三駅先の「水街道駅」で乗り換えが必要だという。
通常、行き先の電車に乗れば、乗り換えは必要ないはすなのだが。路線ルールなのだろうか。とても不思議な感じがした。

「水街道駅」にて乗り換えをし、今度は一両編成で終点の「下館駅」へと向かう。
田畑が目立つ長閑な景色を列車は行く。
途中途中に止まる小ぢんまりとした駅も、味があって良い。

旅の気分を味わっていると、田園と筑波山の雄大な姿が織りなす、見事な景色が車窓に広がった。

薄黄緑。緑。時折、黄金色。

稲穂が風に吹かれている。

その光景を見て、思わず「あっ」と声を上げた。
一人散歩の時の景色が頭の中に広がっていく。
思い出の中の景色は、目の前の広大な景色よりも小ぢんまりとしたものだったが、記憶の彼方に置き去りにされていた、中学生の時の言葉が蘇ってきた。

「山が見えたら、もっと素敵なのに」

生きていると不思議な事はある。
つい最近懐かしいと思い出していた光景の、理想の光景が目の前に広がっている。

このタイミングで忘れていた言葉を思い出すだなんて。
まるでこうなることが、初めから決まっていたかのような。まるで、運命のような。

車窓の奥では、筑波山に見守られる稲穂が、そよそよ風に揺れている。

その光景を観ていると、滾々と感情が湧いてきて、体の隅々にまで行き渡っていくのを感じた。
透明で清らかなものに満たされていく心が、ふるふると揺れ琴線に触れはじめる。

過去。現在。全てに共鳴しあった心が、ハーモニーを生み出していく。
穏やかでどこまでも優しいその音に、鼻の奥がツンとする。

鼻を啜りはじめた私に、母親が「アレルギー?」と心配そうに聞いてくる。

違う。違うよ。

心が溢れて零れそうなんだ。

そう伝えたかったけど、言葉にならなかった。

終点の下館駅に着くまで、私の心は共鳴の音を奏で続けていた。

8/10/2024, 2:43:01 PM