声が枯れるまで
二人の少女の歌声が夕方の空に響く。歩道橋を渡る二人は手を繋ぎながら、楽しそうに歌っていた。
数日後、一人の少女が歩道橋の前にいた。小さく息を吸い込み、歌い出す。弱々しい歌声に嗚咽が混じる。
しかし、少女は歌うことをやめなかった。大きな声で、天にまで届くように歌う。涙が流れ落ちるのをそのままに、声が枯れるまで歌い続けた。
視線を下げ、少女は握りしめていた花束をそっと横断歩道の脇に置く。置かれたたくさんの花束に埋もれるように置かれたそれにはもう一人の少女が写っていた。
10/21/2022, 2:00:57 PM