箱庭メリィ

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なにもない。
なにもないと思っているから、なにもない。

ここにはソファもドアも窓もなにもない。
誰かを思わせる存在すらも。
ぼくも?ぼく?ぼくはだれ?

手を見てみた。
手とはなんなのか?広げてみたそれは、そこにあることはわかるものの、何があるのかわからない。

それもそうだ。
色すらない世界なのだから。
ぼくがぼくとしてここにあるだけで、ほかにはなにもない、そんな世界なのだから。

ぼく?ぼくは、なに?
どうしてここにあるの?


4/18『無色の世界』


「ねぇ、花見、花見行こうよ!」
「ああ、その内な」
「その内って、桜なんてすぐ散っちゃうんだよ!?」
「ああ、はいはい」

開花宣言が出てからずっと言っていた口約束。
毎年行っていたあいつとの花見。
その内、その内にと言っている内に、1週間が経った。
桜はとっくに葉桜混じりになり、花見もかろうじて出来るだろうかという頃。

「なぁ、花見だけどよ」
「ごめん、転勤が決まって、その準備で忙しいの」

ブツンと無情に切られた通話。
窓の外でははらはらと残り少ない花弁が散っていた。

それからあいつと花見をすることはなかった。
あれが最後のチャンスだったのだ。


4/17『桜散る』


公園に子どもを遊ばせに来ていたら、近所の小学生だろうか、女の子たちの会話が聞こえた。

「私、大きくなったらドレスを着るのが夢なの」
「お嫁さんになりたいの?」
「ちがうの。真っ赤なドレスを着たいの!」
「まっかな?」
「そう、真っ赤な」
「結婚式で着るの?」
「ううん、結婚式じゃないの」
「じゃあ何で着るの?」
「別に何でもない時に着るの!いつでも好きな時に着れるの!真っ赤なドレス。それが私の夢!」
「ふーん。叶うといいね!」

キャッキャと笑い合いながら、彼女たちは公園を出ていった。

(まぶしいなぁ。あんな頃が私にもあったなぁ)


4/16『夢見る心』



「やめて、お願い……。もうやめて……」

今にも泣きそうな声で懇願するが、相手には届かない。
聞く耳を持っているのかいないのか、名前を呼べば反応するが、すぐにまた再開してしまう。

「お願い……。もう片付けるのもいやなの」

やめさせようと手を伸ばしても、手を払われるか泣き叫ばれるので無碍に出来ない。

「ねぇ、お願い……」

床に手をつき懇願するママの声は、赤子には届かない。
延々とティッシュを引き抜き、周囲に散らす楽しさに夢中なのだ。


4/15『届かぬ想い』



神様へ

あんたが俺の大先輩だか上司なんだか知らないけどさ。
もしそんな存在だって言うなら、今すぐあの人を俺にくれない?

あんたよりも誰よりも大切で、誰にも渡したくないんだよ

4/14『神様へ』

4/18/2026, 1:49:26 PM