ソファでうたた寝するのが好き。3人がけのソファにデーンと横たわって独り占めして、みんなの声が聞こえる時。
「まーた、ひとりで使ってる。ホントわがままなんだから。あんたが甘やかしすぎなんだよ」
「甘えてんの可愛いじゃん。知ってるか? 実はあいつ全部聞こえてるんだぜ」
「あの人のこと可愛いなんて言うのはあんただけだからね!」
そんなふうに文句言われて、ニヤニヤ笑いながら答える君の声が遠くに聞こえる。
文句言ってる奴も苦笑混じりで本気で怒ってる声じゃない。起きてるの、そうだよねバレてるよね。
でもそうするだけの理由があって…
「もうほら時間だよ。起こしてきてよ」
「なーんで俺が」
と言いつつ近づいてくる君。そして耳元で囁いてくれる。
「ほら起きろよ――ていうか起きてんだろ。お、き、ろ」
甘いボイスが耳に触れ、体がふるりと震える。
世界で一つだけの君の声。
僕がこの世で1番好きなもの。
▼世界に一つだけ
9/10/2023, 2:24:01 AM