『余命宣告を受けた。』
古い友人からのLINEは、唐突に始まった。
そしてそれは、『僕』の終わりを示していたんだ。
20x x年 この世界には四つの能力が存在し、
無差別に世界に選ばれた四人がその能力を受け継ぐ。
ひとつめは友人の時を止める力
ふたつめはAndroidのジークの自然を操る力
みっつめは引きこもりのトニーの感情を読む力
よっつめは不明だ。
別に敵がいるわけでもなく、命尽きるまで保有するだけ
の力を取り合う時代はもう終わった。
そして、時を止める力の次の継承者は『俺』になる。
病室の中は薄暗かった。友人は薄く微笑む。
「まってたよ。死神。」
一つ目は時を止める力
二つ目は自然を操る力
三つ目は感情を読む力
よっつめは全てを奪う力。
たとえ誰かを殺すことになったとしても、
俺は全てを奪う。
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「なぁ、ジーク。お前知ってるか?
本来、力は全部で五つあった。
一つ目は時を止める力
二つ目は自然を操る力
三つ目は感情を読む力
四つ目は全てを奪う力
禁忌に包まれた五つ目の力それは
永遠を生きるチカラ
でも全てを手に入れたらどうなるのだろう。
そう考えた奴がいた。永い生を手に入れた末の結論だ。
四人目がまずやられた。全てを奪えても、驕っていい理由にはならなかった。
そして昨日、一人目が死んだ。知り合い全員に余命宣告の連絡を入れた後。
自分の本当の名前は蒼だ。でも奴に目をつけられないために、ニートを文字ったような名前に変えた。
それももう終わりだ。自分は奴が怖かった。
奴から、シーカから感情が読めた事は無い。
なぁジーク。何か言ってくれよ。
もう最後なんだから___
「時間よ、止まれ」
【時間よ止まれ】
昔々、死神という名の少年がいました。
死神はヒトの魂を狩る仕事をしていましたが、
ある日他の神様から四つのチカラを奪いました。
そして四つを大地にばら撒き、力を持ったヒトを生み出しました。死神はシーカと名乗り、同じく永遠の力を持つモノとして人に紛れ込みました。
三つ目の力の継承者には警戒されていましたが、死神は
それでも人の世を楽しみました。
楽しんで、楽しみつくして、胸を占める好奇心を無視できなくなりました。
全てのチカラを手に入れた死神は、かつて暮らしていた天に戻りました。しかしどんな天上の調べも美酒も死神の心を満たしはしません。
かつて暮らした天を楽しみ、人の世を楽しみ、満足しきっていた死神は、悪魔の棲む地獄に目をつけました。
そうして堕天した死神は漆黒の翼を得ました、
これが、死神が恐れられ、敬われる理由なのだ。
9/19/2023, 11:09:04 AM