途中書きです。すみません。
「約束」
約束を守らなかった君をもう許そうと思っていた。
永遠に怒るのも失望するのも疲れる。
それに君は反省して私との信頼関係を取り戻そうと努力しているように見えたから。
でも、私の勘違いだったみたい。
少しずつ心を開いていたけど、完全に心から許すことがどうしてもできなかったあの頃。
「もう少し信頼してくれてもいいじゃん」
ある時君は私にそう言った。
思わぬ発言に声が出ないでいると周囲にいた君の友達から「えぇ〜、信用してあげてないの?あぁ、例のあれのこと?まだ根に持ってたわけ、ありえなーい。かわいそぉ〜」と言って睨まれた。
困ったように眉を下げる君、君を憐れみつつ私を責める君の友達、その騒ぎを聞きつけ何があったのかを囁くクラスメイト達。
君を信頼していない私がわがままで悪役で。
君はまるで許されて当然のような。
そんな空気に心が押しつぶされそうになって喉がかすれる。
「…っ、あんたが約束破ったからでしょ!?」
勇気を出して言えたのはそれだけ。
その場に立っていられなくて急いで教室を出て、一刻も早く誰もいないところへ、と廊下を走る。
お気に入りの空き教室にたどり着いたとき、
突然痛みを感じて無意識に強く握っていた手のひらをゆっくりと開くと深い爪痕が残っていた。
堪えていた涙が溢れて止まらなくなる。
私が心から受け入れていればよかったのか。
それが友達を大切にするということなのか。
でも私は完全に心を開くことはできなかった。
楽しく君と過ごせていても、約束を守れずに周囲を困らせている君を見るたびにあの嫌な出来事を思い出し、無意識に君を警戒する。
以前のような関係にはとてもなれなかった。
「間違ってねぇよ」
突然後ろから声が聞こえて振り向くと、聞くつもりはなかったんだけど、と頭をかきながら教室のドアに先生がもたれて立っていた。
知らない先生だったけど、ジャージ姿だったから体育の先生かな、と思った。
約束を破られたら誰だって不信感が募るもんだ、何も間違ってないと何度も言われて私は少し落ち着き涙を拭う。
どうしたら良かったんだろう、といつの間にか呟いていたみたいだ。
「信頼を築くには行動しかない」
その友達に言ってやれ、と去り際そう言われた。
あの時の「もう少し信頼してくれてもいいじゃん」という言葉の違和感。
君は信頼してほしいと言ったけど、信頼って相手に直接求めるものじゃなくて、自分から得にいくものであって、自分の今までの行動の積み重ねで変わることなんだって。
信頼は、君次第だ。
3/5/2025, 9:30:46 AM