海月

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「 あなたとわたし。」/ 実話です。

友達として仲良くしようと決めたはずだった。でも、どこかで私たちは、その境界線を曖昧にしていた。友達以上の情が、心のどこかに漂っていたのかもしれない。それでも、お互いその気持ちに触れることなく、穏やかに過ごしていた。

ある日、私に新しい恋人ができた。正直、彼にどう伝えたらいいのか迷ったけれど、やっぱり一番に報告するべきだと思った。

「あのね、私、恋人できたんだ。」

その一言を送るのに、いつも以上に時間がかかった。彼の反応が少し怖かった。でも、すぐに返信が来た。

「おめでとう!何かあったらすぐに連絡しろよ〜!」

彼の言葉はいつも通りで、ほっとした。やっぱり、彼は私のことをちゃんと理解してくれている。変わらず友達でいてくれる。それがありがたくて、胸が少し温かくなった。

でも、数時間後、スマホの画面にまた彼からのメッセージが届いた。

「こんなに好きになったのは君が初めてだよ。大好きでした。」

一瞬、息が止まった。画面を見つめる私の手は震えていた。でも、次の瞬間、そのメッセージはすぐに送信取り消しされた。まるで、最初からなかったかのように、消えてしまった。

私はその後、何も言えなかった。言葉が見つからなかった。だけど、彼の気持ちは確かにそこにあったんだ。ずっとそばにいてくれた彼が、こんなに深く私を想ってくれていたなんて。気づかなかった。いや、気づかないふりをしていたのかもしれない。

涙がこぼれそうになりながら、スマホを握りしめた。彼に何を返すべきなのか、どうしていいのかわからなかった。ただ、ひとつだけ言いたいことがあった。

「ほんとに辛い時にそばに居てくれて、近くで見守っててくれてありがとう。」

その一言だけを、慎重に送った。彼からの返事はなかったけれど、それでよかった。お互い、もうそれ以上何かを求める必要はなかった。

11/7/2024, 11:38:37 AM