あなたが振り返る。薄明の丘に僕ら二人。あなたの顔は薄闇で見えない。「何が見える?」あなたの声がゆっくりと体に染み渡ってゆく。「何が見える?」光と闇の狭間で、悪魔が翼を広げる。すべてあなたの手のひらの上だった。「あなたが」僕は無意識に答えていた。指先の痺れが酷くなる。「いい子だ」また、あなたが微笑んでいる。夕陽の最後の光が閃いて、そして、すべてが闇に沈んだ。
12/3/2023, 7:37:00 AM