学校では一人の方が楽。そう気づいたのは高校生になってから。
でもその楽も楽じゃなくなる。
「藍佑(あいすけ)!お昼一緒に食べよう!」
そう言って声をかけてきたのは同じクラスの委員長山吹(やまぶき)。ちょっと...だけ、苦手。
「好きにしたら?」
「では隣失礼するね」
そう言ってコンクリートで出来た段差に腰を下ろす。包みのみで持ってきてるのか、それは落とすよ。
委員長って言っても堅苦しいわけじゃないからクラスに馴染んでて仲の良さそうな人も多い。なら何故、僕みたいなのと一緒にいるのか。
たぶんコイツは僕を可哀想とか思って一緒に居るんだと思う。
粗方クラスにも馴染めず、ひとりぼっちが惨めに見えたのだろう。余計なお世話、放っておけばいいのに。
僕だって放置してるわけじゃない。何度か突き放そうとしたことはある。でも駄目だった。
「藍佑、これを食べてみてほしいんだ!兄さんと一緒に作ったんだけど上手くできた気がするからさ!」
善意100%。彼の目の真っ直ぐな輝きからそう読み取れる。
「...ありがとう」
だから邪険にも出来ない。僕は善意をはね除ける程も強くもないから。
でも彼の眼差しは嫌いじゃない。それは彼の輝きが太陽ではなく星に近いからだと思う。別に太陽が悪いわけじゃない。太陽だと眩しすぎて、僕は光を直視してしまうから目が潰れてしまう。だから星の輝きが心地よい。
だからと言って君と居たいわけじゃない。もう人と関わるのは懲り懲りなんだ。
流れ星みたいにこっちに見向きもせずにどこか遠くに光っていってくれないかな、と僕はいつも思ってる。
お題 「好きになれない、嫌いになれない」
出演 藍佑 山吹
4/30/2025, 12:29:50 AM