泡になりたい
ねぇ、
わたしが泡になっても、
誰か気づいてくれるのかな。
お風呂の中でぶくぶく沈んでく
音のない音に、わたしは今日もまぎれた。
SNSの通知は100件あっても、
本当に誰かとつながってる気がしない。
教室のすみっこで笑ってるふりしてる。
でも心のなかは、泡立って、弾けて、消えてく。
好きってなに?
わかんない。
友達ってなに?
わかんない。
「それな」とか「草」とか、言ってるけど、
本当はぜんぶ泡みたいに、
ふわってして、消えてくの。
鏡の前で笑顔の練習した。
目が笑ってないの、ちゃんと知ってる。
だけどそれでも、笑ってなきゃ、
見捨てられるって、わたしの中の誰かが言う。
ほんとはさ、
透明になりたい。
でも見えなくなるのはこわい。
だったらいっそ、泡になりたい。
きらきら光って、誰かの瞳に一瞬だけ、
残る存在になれたら、
それで、いいと思った。
夜。
スマホのライトだけが、
部屋を照らしてた。
誰かのストーリーに映る幸せが、
うすい膜みたいに胸を覆って、
息ができなくなった。
「いいね」の数がわたしの価値?
加工フィルターのなかでしか
可愛くなれないわたしなんて、
泡以下かもしれない。
だけど。
泡ってきれいじゃん?
一瞬だけど、虹色で、自由で、
誰にも縛られてない。
もし生まれ変われるなら、
わたしは泡になりたい。
形も決まりもない、風のままに生きて、
誰かの肩にそっとふれて、
すっと消える。
それって、
かなしいこと?
それとも、
うつくしいこと?
どっちでもいい。
わたしのこと、知らなくていい。
でもせめて、
泡だったことだけ、覚えてて。
8/6/2025, 7:15:27 AM