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私の初恋の人。
それは――絶対に叶わない恋だった。


「ミカ、おはようー!」
「んーおはよ」
少し眠い中挨拶を返す。
「今日って授業何だったっけ」
「確か1時間目理科だった気がする」

「えーさいあく」と言いながら心の中ではガッツポーズをする。
そう、私の好きな人は先生だ。

しかも親子というぐらい歳の離れた先生。
自分でも何故好きになったのか分からない。
気がついたら先生のことばかり考えてしまうようになったのだ。

まあ、それが恋というものだろう。
初恋ならば尚更だ。

授業中もずっと先生を眺めていた。
それでテストの点がいいのが不思議だ。それが恋の力というものなのだろうか。

ある日、いつも通り先生にちょっかいを出しているとほかの先生から、
「ほんとにミカは先生がすきね」と言われた。
図星だった。
何を答えたらいいか分からなかった。

すると先生が
「そんな訳ないやろ笑お前も何黙ってんねん!笑」
と言った。

その時、
ああ、あの人にはなんとも思われてなかったんだ と
わたしの気持ちに気づいてくれないんだ と

そんな気持ちが溢れてきた。


私はそれまで、自分の中で意外と先生の特別な存在になれていると思っていた。
毎朝、毎時間、先生に会いに行って。話して。笑って。

先生の知らない部分を知る度、先生のことを好きになっていった。


何度願っただろう。

先生と同じ時代に生まれていたら、と。

だってスタートラインが先生と生徒なんて無理ゲーじゃないか。
ずっと願っていたって叶わない。

だから私はこの恋を隠し通した。

好きな人に大嫌いと言って。
もっと知りたい気持ちを噛み殺して。

3/12/2024, 12:42:17 PM