彩竜帝 里乃亜

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 昔々あるところに白と黒だけの国がありました。
 そこには多くの人々が住んでいました。
 ある日、その国に住んでいる少年が歴史書を見つけました。
 それを見てみれば、そこには「色」の存在が記されていました。
 少年は首をかしげました。
 「この世には白と黒以外にも色というものがあるのか」
 そう疑問におもいました。
 しかし、その歴史書の話を誰に話しても信じてもらえませんでした。


 そうして、幾年か経ちました。
 少年はまだその「色」の存在を信じておりました。
 周りの人々はそんな少年を軽蔑し、冷たい目で見ておりました。
 しかし、人には我慢の限界というものがあるものです。
 少年は軽蔑され続け、ついに"堪忍袋の緒がキレてしまいました"
 そしてその少年は初めて「人を殺してしまったのです。」
 始めにてにかけたのは"りょうしん"でした。
 りょうしんの体からは鮮やかな「赤色」が飛び出しました。
 少年は考えました。他の人の体からは違う「色」が飛び出すのではないかと。
 "せんせい"の体からは深い「緑色」が出てきました。
 "ともだち"の体からは淡い「黄色」が出てきました。
 "いとこ"の体からは真っ直ぐな「青色」が出てきたのです。
 少年はもっともっと、全人類をてにかけました。
 それぞれの人からそれぞれ違う「色」が飛び出しました。
 少年はその「色」を使ってこの国を自分だけの色に染め上げたのでした。
 少年はこの「色」を他の人々に自慢しようと人を探しました。
 しかし、人々はもういません。
 愛した人々ももういません。
 少年がてにかけてしまったからです。

 少年は泣きました。
 ずっと、ずっと、ずっと...
 泣いてないて、前が見えなくなるほど、涙が出てこなくなるまで泣きました。
 少年が顔をあげるとそこにはいつしか見た何もない国が広がっていました。
 その前には黒いローブを羽織ったニンゲンが居ました。
 そのニンゲンはこう言いました。
 「お前はここの人間を殺した。罰として不老不死の力を授ける。」
 そう言い残し、少年が集めた「色」を持ってどこかに消えてしまいました。
 それからその国の行方は誰も知りません。
 その少年の行方も分かりません。
 しかし、何処かで必ず生きているのでしょう。
 「色」を求めて、
 失った大切な人々を求めて...

                 「カラフル」

                                 作者 じゃぱまう

5/1/2023, 11:13:24 AM