22時17分

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透明な夜をモチーフにしたアクアリウムに、何千、何万もの生物が泳いでいる。
水槽の深さは十メートル超で、客は海底から空を見上げるような構図になっている。
小魚は群を作って、透明度の高い清らかな水流を作っている。水に棲む龍のような、神秘的な水族館だった。
そこに一滴の黒を加えれば、夜になるだろうか。この大きな世界なのだから、何滴も加えてもまだ、透明な夜になるだろうか。
まっ黒な夜の底なし沼。身体に沈みながらも歩を進めて、次の楽園へ向かった。魚を肴にして、昼メシは何にしようと考える脳。
出口からでた。水族館の近くに海鮮丼屋があって、店の入口から乱れる列を作っていたのを見かけた。ちょうど入館料と同額だった。水族館が空いていたのはこれが理由だろうか。

3/14/2025, 9:39:52 AM