「見つめられると」
「…緊張し過ぎて…吐きそう…」
「顔色悪すぎですよ先輩…」
衝撃の告白から2日後…
今彼女の家の玄関の前に立っている…
大事な一人娘が同棲したいと言い出し、それを条件付きながら許可した親御さん。どんな親だよおい!
百歩譲って以前から交流もあり顔も知ってる仲ならまだしも、会ったことないどんな人間かも分からんやつとの同棲に先に許可してその後会うって…思ってたのと違ってたらどうすんだよ…
はぁ~これハードル上がってるよね絶対…
俺のことは以前より親御さんに話してたらしく写真も見せてるから絶対大丈夫と彼女は言っているが…
「先輩!緊張するのは分かりますけど、普段通りの先輩で大丈夫ですよ!」
「普段通りって…俺普段コミュ力皆無なんだが…」
「私の知ってる私の大好きな先輩なら大丈夫ですって!」
「…そうは言ってもな…」
「ふふっ行きますよ先輩!」
「ただいまぁー」
「おかえりなさい、〇〇君はじめまして、どうぞ上がってください」
「はじめまして、〇〇と申します」
……………………………
アパートへの帰り道
「先輩今日はありがとうございました!」
「すげー緊張したわ!」
「でも言った通り全然大丈夫だったでしょ!二人共すごく先輩のこと気に入ってましたよ」
「そりゃ良かった、それに親御さんがお前のこと大事に思ってることが心から伝ったわ」
「ん?そんな会話しましたっけ?」
……………………………
今日のためにケーキを予約してあったそうだが取りに行くのを忘れていたということで彼女が取りに行くことになった。
…これ絶対わざとですよね…
いきなり親御さんとフィルター無しで会話って…
「〇〇君、今日は来てくれてありがとう。そして君にはいつか感謝を伝えなくてはと思っていたんだ。」
彼女は俺と出会うまでは家で学校の事など一切話さなかったらしい。1度だけ学校での事を聞いたことがあったそうだが、その時彼女はすごく不機嫌になり「やめて!」と叫んだそうだ。それ以来学校での事は聞かないようにしていたらしい。
それが俺と出会って以来変わったらしく俺との会話や出来事を楽しそうに話すようになり、それに伴い学校での出来事、友達との事を話すようになったと…
そして俺に告白して付き合うようになったときは泣きながら話してくれたこと…
大学受験の際は、娘の成績では難しい大学だったが〇〇君と同じ大学に行きたい一心で必死に勉強し合格した姿を見て娘の心の中で〇〇君の存在がいかに大事なものであるか分かったと…
「もし君が迷惑でなくて娘のこと思ってくれているのであれば私達としては君に傍にいて支えてやってほしい」
…………………………
「俺にはもったいないくらいだ…」
「ん?先輩何か言いました?」
「なんでもねえよ」
彼女は少し不満げに俺を見つめている。
そんな彼女を見ながら俺は静かに決意するのであった。
3/28/2023, 6:55:07 PM