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「うーん、深い絵だ……」

 黒板に貼られた絵画のコピーを眺めて彼女はウンウンと頷いた。

「あんた、美術なんてわかるの?」
「失礼な。私は私。this is me。それでも彼が忘れられない……所詮、私は彼の女……。そういうことでしょ?」

 そう言われてから見てみれば、なんとなくそんな気がしないでもない。

「なに。やけに解釈凝ってんじゃん。おきになの?」
「いや、タイトルから考えただけ。」
「にしてもよくできてんじゃん。」
「ほんと?……いやぁ、ほんと、よくできたと思う。単純な思考だけどね。『私は彼のアート』だなんてクズ男しか想像できんけど。」
「は?」
「は???」
「え、は?……スーッ……まって完全に理解した。」
「え、なにが?」
「私たち漫才してたわ。」
「してないけど……」
「してたの。いい?せーの、で、この絵のタイトル読むよ?いい?」
「えっ?う、うん……」
「せーの、」



「「my Heart」」



「……小学生からやり直せ。」
「……ぜひ、そうさせていただきたいです……」

3/27/2024, 6:20:09 PM