雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―命が燃え尽きるまで―

「お。おかえり〜」
「ただいま」
「で?どうだった?―ゲームは?」
「今回も素晴らしいゲームだったよ」
「ちーがーうーだーろ!!
僕が聞いているのは、ゲームの結果、勝敗だ。
僕の興味があるのは、ゲームの『勝敗』だけ。
そこに至るまでの話やその感想は、二の次なんだよ!」
「ははは、いつも言うよね、それ。
…全滅したよ。君の勝ちだ」
「そりゃどうも〜」
「エイジが生き残るって読みだったのだが…
彼はプレッシャーに弱いからね、他のみんながエイジに
頼りすぎてしまったようだ。
…にしても、随分嬉しげだね。感情を隠しきれてないよ?」
「だって!これでやっと引き分けだろ!?」
「おや?1837対1936で私が勝っているんじゃなかったかい?」
「…チッ。上手く騙せるかと思ったのに」
「困るなぁ、そんなに甘く見られたら」
「…絶対次も勝ってその次も勝って、
お前を見下してやるからな!」
「それは楽しみだ。期待しているよ」
「望むところだ」
「いやー、それにしても、今回は素晴らしいゲームだった。
特にユウスケとナツキ、あの2人には驚かされたな。
最初は仲違いもあったけど、他のみんながいなくなった後、
2人でやむを得ず協力するうちに、
お互い恋情が芽生えたようだね。
ユウスケの並外れて良い運動神経と
ナツキの鋭すぎる程の洞察力で、困難を乗り越えていって…
なかなかいいコンビだったと思うよ。
そして彼らの最後もまた素晴らしかった。
ナツキはユウスケの命を優先して、分かっていながら
不正解の道を選んだんだ。
彼女は命が燃え尽きるまでユウスケの無事を
願っていたし、ユウスケも、彼女の命が尽きるまで
自分の甘さを悔いていた。ユウスケが最後の1人になって、
私は正直、ナツキの死を悔やんで立ち直れなくなって
しまうんじゃないかと思ったが…
やはり彼の精神力は異常なほどだね。
立ち上がり、最後まで戦い続けた。
まぁ、己の能力の限界には、敵わなかったけれど。
現実味があって、それもまた良いね。
みんなの命を踏み台にしてここまで来たのに、
こんな形でゲームが終わらせてしまって、
謝っても謝りきれないと言って悔い、涙を見せ、燃え尽きた。
それが彼の終わりだったよ。
どちらも美しい命だった――」
「ふーん、それは良かったな」
「…君はほんとにつれないね。
この感情を共有できるのは君だけだと言うのに」
「それより、早く準備しよーぜ、次のゲーム」
「はいはい、わかったよせっかち君」
「『はい』は1回だって知らないのか、ノロマ?」
「大事なことなので2回言います、
みたいなのがあるだろう?
私にとって君への返事は大事なことなんだよ」
「…いけ好かない」
「それはどうも」
「で?次はどんなゲームにするつもりなんだ?」
「ウインクキラーを大人数で、なんてどうかなと
思っていてね」
「ほう。ウインクキラーか…。久しぶりだな、それでいこう」
「さてプレイヤーは――」

「人の命はカゲロウのよう。
目的のために必死に飛び続ける姿は、
まさに死に抗おうとする人間。
命が燃え尽きるまで、戦い続ける。
…みんな儚く、脆くて弱い。でもだからこそ、美しい。
――やあ、みんな。
私は今から始まるゲームのゲームマスターを
務めさせてもらう者だ。どうぞよろしく。
――さて、挨拶はこのくらいにして、
さぁ始めようか…」

「「『ウインクキラー』だ。」」

9/14/2022, 1:46:31 PM