カチ、カチ、カチ。
真っ暗な部屋に短針の音が響く。私はのそりと寝返って手を伸ばし、時計を見た。一時だった。
慣れない小さな部屋の中、私は一人、今も眠れずにいる。なんだか今日は、妙に緊張してしまう。そりゃそうか、だって今日は……。
「ねぇ、もう寝た?」
思い切って小さな声を上げてみる。1秒、2秒。布団が擦れる音がした。
「あかり、まだ寝てなかったんだ?」
隣から弱々しい声がした。パタ、パタン。奥からも、スリッパの音がする。
「やっぱ寝れないよねー! 電気つけていい?」
ふわぁ。誰かさんの小さなあくび。
「せっかくうとうとしてたのに! つけないでよぉ」
そう、今日は修学旅行旅行の日なのだ。こんな一大イベントの時に眠れるわけがない。
「どうする? トランプでもする?」
「えー、恋バナは?」
「廊下出てみようよ」
「行っちゃう?」
この時の私たちは、まだセンセーたちが廊下で目を光らせていたことに気づいていない。
お題「眠れないほど」
12/5/2024, 1:29:53 PM